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ドンドンドドドンどんどん行くばい!
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7th day
昼食後の掃除の時間。
どうして昼食の後、至福の時間の後にこんな埃っぽいことをしなければならないのか、学校生活というものは甚だ不思議なものだ。
大きい教室の窓から差し込む日差しが掃除で舞い上がる埃を輝かせる。ちっとも綺麗でも何でもないと、紫乃は嘆息する。
教室には他の掃除当番4、5人がいるだけだ。

「かったるい・・・」

紫乃と共に椅子を上げた椅子の脚の埃を拭く役目を言い付かっていた財前がぼそりとそう呟いた。
その割りにはちっともやる気がないらしく、手にしている雑巾も1つ2つ拭いたような黒い跡があるだけで綺麗なものだ。
すっかり半目で、顔から、表情から、全身からかったるそうな、今にも眠ってしまいそうな雰囲気がかもし出されている。
紫乃にも気持ちは分かる。こんなに良い天気なのだ。どうしてこんな天気の良い、しかも満腹という幸せな時間に掃除をしなければならないのだろう。

「具合でも悪いの?」
「別に。眠いだけ」
「何時に寝たの?」
「2時」
「・・・平日だよね?普段も?」
「そんなもん」
「夜行性なんだ」
「せやかて眠くならんねん」

部活のない日は尚更。ふわあと猫のような大あくびをすると同時に財前は言う。語尾はあくびに掻き消えた。

「掃除とかほんまやる気あらへんわ・・・」
「三島ー、財前ー、机戻すでー。雑巾洗って来いやー」
「あ、はーい」

半目でぼやく財前をどうしようもない気持ちで紫乃がもてあましていると、対角線上に掃除当番に声を掛けられた。紫乃も大声で返事をする。

「ホラそれ、貸して」

貸してと言いつつ紫乃は財前の左手から無理に雑巾を奪い取った。こういう無気力状態の財前は放置するに限るのだ。
バケツの淵に自分と財前の持っていた雑巾を引っ掛けて、持ち上げる。水道に持って行こうとすると、紫乃の目の前に無表情のままずい、と手を出した。

「・・・何?」
「バケツ」

少し剣呑な声になってしまう紫乃の言葉以上に、かったるそうな、つっけんどんな口調で言い返されて、紫乃は言葉に詰まる。

「貸せや」
「あ、どうも・・・」
「何やねんその顔は。変な顔」
「失礼な。だって財前がそんなことすると思わなかったんや」
「俺を何やと思ってんねん」
「冷血人間」
「アホか。俺かてとりあえず血は流れてるわ」
「冷たいけどね」
「まあな」

ニヤリとも笑わずにぷいと顔を背けて廊下を歩いてゆく。財前の後を追って手ぶらの紫乃が歩いていると、水道の上の明り取りの窓から初夏の土臭い風が真緑の木の葉を揺らしているのが見えた。
バケツの汚れた水を水道に流しながら、財前が溜息をつくように言葉を漏らす。

「ホンマにええ天気やな。眠くなってきたわ」
「本当に眠いんだね」
「ああ。俺、次サボるわ。古典やし」
「屋上?」
「ああ」
「じゃあ私も行く」
「勝手にしいや」
「じゃあ決まり。私の勝手やもんな」

水道でお互い雑巾を絞りながら、共犯者めいた笑顔でニヤリと笑い合った。
15days | 23:51 | comments(0) | - | chica
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