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ドンドンドドドンどんどん行くばい!
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あの日
「うう…」
「どないしたん。腹抱えて。便所か?黙っとるから早よ行って来いや」
「いや…うん、何でもないから…」
「うん?重症か?」
「ううん、軽症だと…思う…」
「おーいケンヤー」
「おー、今行くー」

白石に呼ばれた謙也は不思議そうな顔のままラケットを抱えてコートの中へ駆けてゆく。
その様子をどこで見ていたのか、コートの隅にあるベンチの脇で蹲る花純の傍に、今度は小春が歩み寄って来た。

「イヤねえ謙也クンてば」
「…」
「立てる?花純ちゃん」
「うう」

唸り声で返事をすると問答無用でベンチに引き上げられ、小春の隣に座らされる。
ぷりぷりと怒ってみせる小春に同調したいと思いつつ、だからと言って謙也を責める気にもなれず、花純は肩を落とす。まだ下腹部に鈍痛が残っている。

「貧血かしらねえ」
小春がいたわるように笑った。狙って話題の的を外したであろう小春に、かすかに笑って返事をする。
「もう一日中痛いから、もう我慢するしかないんだけど…」
「それは困ったなあ。ワイに出来ることならしてあげたいんやけど」

小春は「このボール籠、しまうヤツやろ?後で持ってっとくわ」と足元の籠を指差した。
それに花純は首を振って「それよりこの痛さを代わって欲しいかな」とふざけて言うと、小春は少しだけ困った顔をした。

「小春ちゃんは部活しないでええの」
「今は蔵リンとケンヤくんでコート占拠しとるし、隣でも半壊させる勢いで銀さんと金太郎はんが打ち合っとるから、ワイの出番は暫くなさそうやで」
「そう言えばユウジは」
「えーっと、何やったかなあ」

相方の行動はきっと把握しているであろうに、秀才の級友は白々しくとぼけてみせる。
ちょっと笑った途端に、再び鈍痛の波が来た。お腹を抱えて前屈みになると、小春の左手が背中から腰にかけて優しくさすってくれる。

「…」
「…」
「…じゃあちょっとだけ、肩貸してくれる?」
「ええわよォ、勿論」

ぱっぱと左肩の埃をはたくと、「どうぞ」と語尾にハートをつけながら花純の方へ腰をずらす。

「あらまあ、冷や汗」

花純が肩に寄りかかると、小春は首に掛けたタオルで花純の首筋に浮いた汗を拭ってくれる。

「ありがとう」
「どういたしまして」
「小春ちゃん、良い匂いする」
「せやろ?汗臭いの、めっちゃ気をつけてるんやでえ」

「乙女の嗜みやからな」と響くくぐもった声の低さは、肩の筋肉の硬さは、それは確かに男の子のものだった。


ユウくんが発見するまであと300秒くらい
小ネタ | 23:59 | comments(0) | - | chica
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