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ドンドンドドドンどんどん行くばい!
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好きって言ってよ
「言ってよ」
「…」
「私の事、好きじゃない?」
「…」

学校の帰り道。随分と街路樹も寂しくなってしまった。落ちた枯葉を踏み砕きながら、「そう言えば私、告白されてから一度も謙也に好きって言われたことない」と聡子は思い出したように口に出してみた。
本当は今思い出したことでも何でもない。付き合って半年、少しだけ気になっていたことだった。けれど、隣を歩く謙也は聡子の言葉を聞いても押し黙ったままだ。

「私は謙也の事、好きだけど」

聡子が続けざまにけろっと言って見せる。本当はものすごく恥ずかしいけれど、何とかポーカーフェイスを作りつつ謙也を見上げる。
謙也と言えば難しい顔をして、それでいて顔は真っ赤だ。本当に分かりやすくて素直で実直な、聡子には勿体ないくらいの彼氏だ。
どうやら聡子の語調が思ったよりもキツかったらしい。謙也は押し黙ったまま、手も繋がずに隣を歩いている。そう、付き合って半年も経つのに手も繋げないのだ。
謙也は普段お喋りなだけに、押し黙ると何を考えているのか分からない。
もしかして、まずい事を言ってしまったかなあ。これがきっかけで険悪になるかもしれない。少しだけ聡子は自分の言ったことを後悔する。本当に、口は禍のもとだ。

「…聡子」
「ん」
「俺も!…お前の事!好きやで!」
「…」

大声でそう言った後、「あかんあかん恥ずかしい…」と謙也は小声で早口に言ってしゃがみこむ。

「…」
「おい、何とか言えや」
「…どうしよう、めっちゃ嬉しい」

聡子が思った以上の謙也の「好き」の破壊力に茫然としていると、立ち上がって目の前に立った謙也に右手を握られた。弱々しく優しく握られたその左手を、聡子はぎゅっと強く握り返した。
紅潮した頬に冷気が心地良い。二人の初めての冬が来る。
小ネタ | 15:37 | comments(0) | - | chica
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